夏へのトンネル、さよならの出口

 『夏へのトンネル、さよならの出口』 をTOHOシネマズ池袋にて鑑賞しました。SNSで話題の良作アニメです。




 ポスターを一見すると、青空をバックに中高生の男女が佇んでいる構図のため "新海誠っぽい" という印象を持つ人が多いと思います。でも逆に、むしろこのポスターで損してるな~というのが私の感想です。

 『夏へのトンネル、さよならの出口』はSNSでは "恋愛版インターステラー" と呼ばれていて、少しずつジワジワと評価を上げている作品です。『インターステラー』を未見の人もいるでしょうから内容には触れませんが、『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督が手がけた宇宙モノの傑作です。


2020年9月にフルサイズIMAXで『インターステラー』が限定上映されました


 私もクリストファー・ノーランのイチファンとして "恋愛版インターステラー" と聞いては観に行かないわけにいかないと思い、すぐにチケットを購入しました。そのかいあってなかなか楽しめましたしけっこう感動しました。良い作品を教えてくれてSNSに感謝ですね!

 殆どのシーンを主演2人で回していくストーリー展開で、かつ主演2人が声優ではないのは正直どうだろう?と思ったのですが、実際声の演技は上手いとは言えないところもありましたが、それを上手に活かして作られているように感じました。田口智久監督によると、先に声の収録を済ませておいてその声に合わせてアニメのキャラクターを作り上げていったそうです。声に感情を乗せる技量がないことで、主人公の絶望が逆説的に伝わってくる上手い演出だと思いました。

 ストーリー、キャラクター、グラフィック、音楽など全て良かったのですが、カメラワークだけは唯一イマイチに感じました。主題となるキャラにピントを合わせて周囲のキャラは一眼レフカメラのようにボカすという手法を多用するのですが、これが不自然なシーンが多かったです。教室内で話してるキャラがいれば視聴者は自然にそちらを見ますが、主役ではないためボケている、というカメラワークがちょっとダメでした。観ている人間の視線の移動というものを置き去りにしている印象です。

 ちょっとネガティブなことも書きましたが、観て損のない泣ける良作アニメです。例えば『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が好きな人にはきっと楽しめると思います。






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