2020年に日本の全ての映画館が休業した日の話
前回の記事でノーラン夏祭りについて書きましたが、あの時のことを思い出しながら当時の写真をGoogleフォトで確認したり、自分のTwitterの投稿を読み返したりしているうちに少しずつ記憶が蘇ってきました。
コロナ渦で当時の映画館がどういう状態だったのか、備忘録として書き残しておこうと思います。
2023年にダークナイトのIMAXリバイバル上映がくるかもしれない話
2020年の4月の終わり、ゴールデンウィークの始め頃に日本の全ての映画館が営業を止めました。コロナによる休業要請によって。
私が休業前に観た最後の映画は、3月31日にグランドシネマサンシャインで観た『ジュディ 虹の彼方に』です。世の中は既にコロナによる自粛ムードで、お客は自分を含めて5人しかいませんでした。
4月18日頃にはほとんどの映画館が休業していましたが、最終的には地方の単館系映画館も含めて全ての映画館が休業となりました。その後、東京の映画館が営業を再開するまでにかなりの時間がかかることになります。
5月15日頃に一部映画館の休業要請は解除されましたが、東京近郊ですぐに映画館が再開した地域はなく、東京から日帰り圏内の都道府県でいうと、静岡、栃木、新潟あたりまで行かないと映画館がやっていないという状況でした。
映画館再開後、まず最初に静岡県沼津市の映画館まで行きました。東京から新幹線に乗って。観た映画は『AKIRA』です。
幸いにも新幹線回数券がめちゃくちゃ値崩れしていて往復2000円かからなかったです。コロナで新幹線の利用者がいなかったからで、車両はほぼ貸切の状態でした。
その後、5月20日過ぎから茨城県の映画館が再開したので、つくば市の映画館まで足を運びました。観た映画は『セッション』と『スウィング・キッズ』です。
沼津でもつくばでも映画館のお客は自分を含め2人ずつしかいなかったです。ただ不思議と完全な貸切にはならなかったと記憶しています。
そして東京の大手シネコンが営業を再開し出したのは6月5日頃です。今度は奥さんも連れて『AKIRA』を観に行きました。好きなので。
6月12日には『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の上映が始まって、これは数十人程ですがお客さんが来てました。久しぶりに上映されたハリウッドの新作映画なので、ようやく映画が戻ってきたな~という感じがしました。
もちろん映画館が再開したとはいっても、時短営業や座席間引きなど制限のあるなかでのことです。そして、これほど厳しい状況下で東京の映画館再開からわずか1ヶ月後に、ノーラン夏祭りとして4本のリバイバル上映と新作『TENET』の公開に踏み切ったことは特筆すべきことだと思います。全ての映画配給会社がコロナ渦で赤字を出すことを嫌い、サブスク配信に舵を切るなかで一人真っ向から反対の声をあげて、です。
実際にこの後、クリストファー・ノーラン監督は蜜月関係にあったワーナーとの契約が無しになり、新作『オッペンハイマー(原題)』はユニバーサルから予算規模を縮小したうえで公開になるとのことです。サブスク配信に対してはっきりノーと言ったことで、ワーナーとの関係が悪化したと言われていますが、現在の映画業界の復調をみるとノーラン監督が正しかったことは明らかです。
あの状況下でリスクを顧みず映画業界のために『TENET』公開に踏み切ったことはノーラン監督の素晴らしい功績で、一映画ファンとして今後も語り継いでいきたいと思っています。
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