投稿

10月, 2022の投稿を表示しています

秒速5センチメートル(新海誠IMAX映画祭)

イメージ
  『秒速5センチメートル』をグランドシネマサンシャインIMAXレーザーGTにて鑑賞しました。新海誠作品を観たのは今回が初めてです。  2022年11月11日に新海誠最新作『すずめの戸締り』が公開されるのを記念して、『秒速5センチメートル』、『君の名は。』、『天気の子』の3作品がリバイバル上映されるイベントが「新海誠IMAX映画祭」として行われました。  3作品のなかでも『秒速5センチメートル』はIMAX初上映とのことです。この作品は全3話の連作形式のアニメとなっているので、それぞれレビューしたいと思います。  まず第1話『桜花抄』ですが、これが新海誠初鑑賞で予備知識も無かったので、こんなにじっくりと見せる作風なんだな~と驚きました。昔のゲーム機や駅の風景の書き込みがセルアニメっぽくて良かったです。ここがCGっぽいとかなりシラケてしまうところなので。電車の中で時間が悪意を持ってゆっくりと流れていくシーンなどは、息苦しいほどの閉塞感が伝わってきて映画館で観て良かったと思える瞬間でした。  次に第2話『コスモナウト』ですが、こちらは舞台設定がとても良いですね!種子島に行ってみたいです。舞台が種子島ということで、物語の象徴的にロケットが発射されるシーンがあるのですが、爆音を上げながら大空を切り裂くようにロケットが発射されるシーンはグラシネIMAXのビッグスクリーンにとても映えます。これも大満足で観に来て良かったと思います。  最後に第3話『秒速5センチメートル』です。これは…うーんな内容ですね。この作品が賛否真っ二つな理由が良く分かりました。この3話がそれまでとあまりにも落差のある展開であるため、1,2話までの美しいストーリーが主人公の妄想であるように思えてしまいます。良くも悪くも観ている人にトラウマを植え付ける"これが新海誠か"と思わざるおえない展開でした。  全部見終わった感想として、この物語が好きになるかどうかは人それぞれだと思います。ただ、新海誠の力量を見せつけた作品であることは間違いありません。この後の大ヒット作『君の名は。』にもかなり興味が湧いてきましたので、チャンスがあれば劇場で観てみたいですね。 Amazon.co.jp: 秒速5センチメートルを観る | Prime Video

コードネーム U.N.C.L.E.

イメージ
  Netflixで『 コードネーム U.N.C.L.E. 』を視聴しました。監督は『スナッチ』や『ファイト・クラブ』のガイ・リッチーで、主演は『マン・オブ・スティール』のヘンリー・カヴィル。エリザベス・デビッキやヒュー・グラントなども出演していて、デビッド・ベッカムもカメオ出演している作品です。  この作品の特徴というか感想なのですが、作品全編に渡って音楽がオシャレです。スパイアクション映画なので、分かりやすく例えるなら "007 + ルパン三世" といった感じでしょうか。  鑑賞後に知ったのですが、『 コードネーム U.N.C.L.E. 』は1964~68年の『0011ナポレオン・ソロ』という海外ドラマのリメイク作品なんですね。英語のタイトルは1964年版も2015年版も同じく『The Man from U.N.C.L.E.』です。007シリーズの最初の映画である『007/ドクター・ノオ』は1962年ですからスパイ物の古典の一つと言えるかもしれません。  裏切りやどんでん返し連続するストーリーで大変面白かったのですが、一番気になったのはエリザベス・デビッキの出演シーンです。エリザベス・デビッキといえば『TENET』のキャット役のインパクトが凄かったですが、『 コードネーム U.N.C.L.E. 』ではそっくりのシーンがあるんです。  上の画像の左から二番目がエリザベス・デビッキです。『TENET』を観た人なら分かると思いますが、名前の無い男とキャットがボートでクルーザーに向かうシーンとかなり似ています。もちろんパクリだとか、そういうことを言うつもりはありません。ただ、クリストファー・ノーラン監督が『 コードネーム U.N.C.L.E. 』を観たことでキャット役のシーンを着想したことは恐らく間違いないと思います。  他にもデビッド・ベッカムがどこにカメオ出演しているのか探してみたり、楽しめる要素がたくさんあります。未見の人はネタバレを見る前にぜひ鑑賞してみて下さい。 Amazon.co.jp: コードネームU.N.C.L.E.(字幕版)を観る | Prime Video

夏へのトンネル、さよならの出口

イメージ
 『夏へのトンネル、さよならの出口』 をTOHOシネマズ池袋にて鑑賞しました。SNSで話題の良作アニメです。  ポスターを一見すると、青空をバックに中高生の男女が佇んでいる構図のため "新海誠っぽい" という印象を持つ人が多いと思います。でも逆に、むしろこのポスターで損してるな~というのが私の感想です。  『夏へのトンネル、さよならの出口』はSNSでは "恋愛版インターステラー" と呼ばれていて、少しずつジワジワと評価を上げている作品です。『インターステラー』を未見の人もいるでしょうから内容には触れませんが、『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督が手がけた宇宙モノの傑作です。 2020年9月にフルサイズIMAXで『インターステラー』が限定上映されました  私もクリストファー・ノーランのイチファンとして "恋愛版インターステラー" と聞いては観に行かないわけにいかないと思い、すぐにチケットを購入しました。そのかいあってなかなか楽しめましたしけっこう感動しました。良い作品を教えてくれてSNSに感謝ですね!  殆どのシーンを主演2人で回していくストーリー展開で、かつ主演2人が声優ではないのは正直どうだろう?と思ったのですが、実際声の演技は上手いとは言えないところもありましたが、それを上手に活かして作られているように感じました。田口智久監督によると、先に声の収録を済ませておいてその声に合わせてアニメのキャラクターを作り上げていったそうです。声に感情を乗せる技量がないことで、主人公の絶望が逆説的に伝わってくる上手い演出だと思いました。  ストーリー、キャラクター、グラフィック、音楽など全て良かったのですが、カメラワークだけは唯一イマイチに感じました。主題となるキャラにピントを合わせて周囲のキャラは一眼レフカメラのようにボカすという手法を多用するのですが、これが不自然なシーンが多かったです。教室内で話してるキャラがいれば視聴者は自然にそちらを見ますが、主役ではないためボケている、というカメラワークがちょっとダメでした。観ている人間の視線の移動というものを置き去りにしている印象です。  ちょっとネガティブなことも書きましたが、観て損のない泣ける良作アニメです。例えば『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が好きな人に

アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター

イメージ
 『アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター』を丸の内ピカデリー ドルビーシネマで鑑賞しました。 2022年9月23日~10月6日までの限定公開です。  『アバター』は元々観たことがない作品だったのですが、凄すぎてあっという間の3時間でした。  今まで観たことがある3D映画というのはどうしても2Dと比べてボヤケた感じがして苦手でした。私自身の視力が右1.0左0.3と左右差が大きいため、3D作品が苦手なのは仕方ないのかなと思ってました。でも今回の『アバター:3Dリマスター』はボヤケた感じも滲んだ感じも全然なくて、本当にクリアな映像で驚きました。3Dが苦手なのは視力のせいではなく映像クオリティの問題だったようです。  通常映画というのは一秒間に24コマで作られています。フィルムからデジタル撮影になってもこれは変わりません。では3Dは?というと、右12コマ左12コマで作られたものを合成して24コマにしているんです。一秒間に12コマしかなくてスムーズな映像になるのか?というと、なりません。コマとコマの中間コマを補完する技術によってカクカクになるのを補っていたりします。  では『アバター:3Dリマスター』は?というと、ドルビーシネマとIMAXレーザーの一部劇場では右24コマ左24コマを合成して48コマでのハイフレームレート(HFR)での上映が行われているんです! 3Dの4kリマスターとHFR上映というのを初めて観ましたが、ここまで既存の3Dと違うのかと驚きました。丸の内ピカデリー ドルビーシネマを選んだ理由もそれで、HFRかつ9.1ch上映なのは東京では丸ピカだけでした。  MCUなどはIMAX3D規格の作品をコンスタントに公開していますが、解像感においてはどうしても2Dに劣ります。MCUですらこの現状ですから、"3Dのブーム"は既にブームが去ったと考える人もいます。  しかしジェームズ・キャメロンは3Dが定着しないのはブームが去ったからではなく、未だに3D本来のポテンシャルを充分に活かした作品が無いからだという意味のことを言っています。そして何故作られないのかというと、それは制作コストの問題であるとも言っています。今回の『アバター:3Dリマスター』はHFRなどの制作コストをかけることさえ出来れば、今まで観たことが無い別次元の映像が生み出せることを